11月30日、日本人大使館員の奥克彦氏と井ノ上正盛氏が、北部イラクの復興支援会議に出席するため、バグダッドの北にあるティクリートに向かう途中、銃撃に遭って死亡しました。ティクリートは、フセイン元大統領の故郷で、米英軍への抵抗勢力の拠点です。
この事件を受けて、小泉首相は「テロには屈することなく、イラク支援活動に全力を挙げて取り組んで行く方針は不変」とする姿勢を改めて強調しました。日本は、イラク復興支援特措法で、人道復興と安全確保の支援活動を「適切かつ迅速に実施する」とうたっています。
12月9日には、自衛隊派遣の基本計画を閣議決定し、先遣隊を派遣することになりましたが、陸上自衛隊の年内派遣は見送られました。この事件が影響しているのでしょう。
イラクの安定には、今後半年間がきわめて重要だといわれています。2004年6月には、暫定政府が発足して主権が移譲される予定だからです。イラク国民の願いは主権の早期回復です。しかし、5月の「主要な戦闘終了」宣言後も米軍の死者は増え続けています。テロの標的も、国連や他の支援国などにまで拡大しているのも現実です。
テロは時と場所にかかわらないこと。いつどこに振りかかるかわかりません。すでに11月には、テロ組織は日本をも標的にすると公言していました。国連安全保障理事会の最新報告書は「イラクが国際テロ組織アル・カーイダにとって理想の戦場と化した」と指摘しているほど。イラクでも東京でもテロは起こり得るのだという思いを私たちが抱くこと、それがテロの恐怖なのです。
今回の事件は、そんな中での惨事でした。事態は迫り、日本はきわめて重大な岐路に立っています。
(2003年12月9日) |