| 憂鬱な気分のとき、本を読むとしたら…? あなたなら、どんな本を選びますか?
きれいな写真集や絵本を眺めるのもよいでしょう。でも、そんなもの見たくもない気分のときもありますよね。
では、こんな1冊はいかがでしょうか。
乳がんの手術以来、何をするのもかったるい25歳の女性を主人公にした表題作を含め、5つの短編がおさめられています。登場するのは、定職につかず、どこか身の置きどころがなく、憂鬱のトンネルから抜け出す道があるやなしやの人物たち。ディテールの描写が生々しく、何をしてもだるい、もどかしい登場人物の心情が痛いほど伝わってきます。
あなたのすぐそばにいる幸福そうに見えるあの人も、もしかしたら憂鬱を抱え込んで、トンネルの中でもがいているのかもしれません。確かなのは、しんどいのは自分ひとりだけじゃないってこと。明日になれば、何かが変わるかもしれません。しんどい気持ちをだれかと共有することによって生まれるものって、きっとありますよね。シンパシーとか、愛情とか友情とか、ちょっとしたあったかみとか。本の登場人物と共有するのもいいんじゃないかと思います。直木賞受賞作品です。 |