70年もの間、子供たちの歓声でにぎわったであろう中庭、洗濯物がたなびいていたであろう軒先、まるでパリのアパルトメントを思わせるような美しい曲線を持つ階段や手すりなど…。387点もの写真を掲載しています。
表参道にあったアンティークな建物。代官山の木々に囲まれた建物…。その名前や由来は知らなくても、同潤会アパートほど人々に親しまれてきた近代建築はまれでしょう。 「同潤会」とは、1923年の関東大震災後、地震や火災に強い集合住宅をという復興計画から結成された財団法人。大正後期から昭和初期までの間、都内と横浜に16棟が建設されました。外観はもとより、間取りやインテリアの細部にいたるまで多彩かつ綿密に計画された、日本初のすぐれた機能性・デザインの「都市型文化的集合住宅」でした。しかし、老朽化や住民の世代交代、再開発の名のもと、次々に姿を消ししつつあります。
この写真集には、青山、清砂通、上野下、大塚女子、三ノ輪、鶯谷、虎ノ門の同潤会アパートメントがおさめられています。どんなに文字をつくしても語りきれないような空間、過ぎ去りし時、かつての生活の息吹が写真一枚一枚に刻まれています。古本屋や図書館で古い本に囲まれているかのように、ゆったりした時の流れを感じ、心が落ちつきます。 |