| ぼくはあるく、てこてこあるく。大地をふみしめ、ズトズトあるく。ーーそんな書き出しで始まる絵本です。田島征三という人の描く絵は、イキイキしていて生命力がみなぎっています。鳥の絵、バッタの絵…、今にも紙の中から飛び出してきそうです。どこかで原画を見る機会があったら、ぜひにと願うほどです。
しかし、絵ばかりでなく、文も大変よいのです。文頭でご紹介したように、アフリカの太鼓を思わせるようなリズム感にあふれて。思わず口ずさみたくなります。この絵本を手にすると、その両方をいっぺんに味わえるのです。ページをめくるたびに、心をふぅっと解き放たれる思いで、ついつい笑顔がこぼれます。なんだか涙まで出てしまうのです。そして、そうだ、また歩き続けてみよう、いいことに出会えるかもしれないと、じわじわと力が沸いてきます。
何冊も出ているエッセイを読むとわかりますが、田島征三は闘う画家です。昔、絵が難解すぎて子供にわかりにくいと非難されても、自分のスタイルで絵本を作り続けました。さまざまな賞をとるようになっても、一時も同じ画風にとどまらず、模索しながら新たなスタイルを生み出してきました。自動車会社から依頼され大金を積まれても、車の広告の絵は描けないと断ってきました。ゴミ処分場建設反対運動など自然を守る運動をずっと続けています。そんな画家が、いろんな思いで描いて、仕上げてきた絵を切り刻んで、並べかえて、はり合わせて、創り出した絵本です。 |