| 台湾に行く機会があったら、書店の絵本コーナーをのぞいてみてください。きっと「幾米」(ジミー)という作家の絵本が山積みになっている光景を目にするでしょう。その人気は、アジア各国、欧米にもじわじわ広がっています。待望の日本語版は、2001年10月、続いて11月に登場しました。
本書は、月と少年の物語です。地上に落ちた月を拾った少年。偶然の出会いが、互いのさみしかった心に優しい灯をともします。ときに明るく、ときに暗く、満ち欠けを繰り返す月のように、人生はときにうれしく、ときに哀しく、出会いと別れを繰り返します。月と少年にも別れのときが近づいて…。
ジミーの絵本には、独特の風景が広がっています。登場人物は、どこかさびしさや哀しさを漂わせ、それでも、だれかと出会ったり、どこかへ出かけたりして喜びを編みながら日々を過ごしています。ついつい自分を重ねあわせる人も少なくないことでしょう。
見えなかったものも見えるようになることがある。さびしさはさびしさのままではないし、哀しさもまた哀しさのままではない、たぶんきっと…。物事の多面性まで描かれて、たかが絵本だとは、だれにも言わせません。かつて急性骨髄性白血病にかかって死を身近に見つめたことが作品に大きな影響を与えたと、作家本人は語っているそうです。 |